次世代の女性研究者を支援する「2026 Sony Women in Technology Award with Nature」のファイナリストを発表
2025年11月20日
ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)と Nature は、「2026 Sony Women in Technology Award with Nature(ソニー・ウィメン・イン・テクノロジー・アワード・ウィズ・ネイチャー)」のファイナリストを本日公表しました。この8名の候補者の中から3名の受賞者が選出され、2026年2月に東京で開催される授賞式で発表されます。
Sony Women in Technology Award with Nature は、ソニーとNatureにより2024年3月に設立された賞です。テクノロジー分野において活躍するキャリア初期から中期の女性研究者を表彰し、世界にポジティブなインパクトをもたらす研究活動を推進するための賞金 250,000 USドルが各受賞者に授与されます。
2年目となる本賞には、世界中の多様な分野から卓越した研究内容の応募が寄せられ、独立審査委員会によりその課題の難度や革新性、コンセプトの卓越性、影響力、社会的意義などの観点から審査が行われ、8名のファイナリストが選出されました。
審査委員会は、Nature編集長マグダレーナ・スキッパーを委員長とし、幅広い技術・科学分野の専門家で構成されています。ソニーからはCorporate Distinguished Engineer 菅 真紀子、ソニーグループのチーフテクノロジーフェロー 北野 宏明が委員として参加しています。
最終候補者一覧

Anima Anandkumar氏(アメリカ・カリフォルニア工科大学)
カリフォルニア工科大学(Caltech)のブレン教授*を務め、IEEE、ACM、AAAIのフェロー。AIを活用して科学的発見(Scientific Discovery)の加速に取り組む。開発したニューラルオペレーターは、異常気象の予測、創薬、エンジニアリングデザインなどに応用されている。これまでにTime100 Impact Award、IEEE清雄富安賞キヨ・トミヤス技術功労賞、グッゲンハイムフェローシップ、Schmidt Sciences の AI2050 シニアフェローシップなど、数々の栄誉を受賞。以前は、AWSの主任科学者やNVIDIAのAI担当シニアディレクターを務めた。
*ブレン教授は、カリフォルニア工科大学に設置された 冠教授職(endowed professorship) の一つで、Bren財団(Donald Bren)の寄付により創設されたものです。

Amy Bilton氏(カナダ・トロント大学)
トロント大学の機械工学の准教授であり、Centre for Global Engineeringのディレクター、Engineers Canadaのフェロー。Bilton氏が率いるWater and Energy Research Labは、持続可能な水処理技術と、その社会実装に不可欠な人や社会の仕組みを結び付ける研究に取り組んでいます。 同氏の研究は、インド、バングラデシュ、ベトナム、メキシコ、ニカラグアで展開され、主要な学術誌に掲載されるとともに、数々の受賞歴を有する。世界に影響を与える工学的ソリューションの推進に尽力している。

Hong Chen氏(アメリカ・セントルイス・ワシントン大学)
ワシントン大学セントルイス校の生体医工学および脳神経外科の教授、米国発明家アカデミーのシニアメンバー。脳科学と超音波工学を融合させ、脳機能マッピング、診断、治療のための非侵襲的技術を開発。NIHディレクターズ・パイオニア賞、優秀な教員メンター賞、学科長教育賞などを受賞。また、起業家として最先端の超音波技術を応用し、より多くの人々が受けられる脳ケアの実現に取り組んでいる。

Xiwen Gong氏(アメリカ・ミシガン大学)
ミシガン大学の化学工学科の助教。ペロブスカイトや量子ドットを含む溶液プロセス半導体の分子設計および界面設計に焦点を当て、効率的で安定した多機能の光電子・バイオ電子デバイスの開発を目指している。

Xiaona Li氏(中国・寧波東方理工大学)
寧波東方理工大学の准教授。全固体リチウムイオン電池におけるハライド系の技術応用の可能性を拡張することを目指している。次世代のハライド系固体電解質材料を開発し、固体イオン伝導のメカニズムを解明することで、全固体電池の性能を大幅に向上させることを目指している。

Tina Tse Nga Ng氏(アメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校)
カリフォルニア大学サンディエゴ校の電気・コンピューター工学科の教授。有機半導体におけるデバイス物理の基礎を解明し、高度な集積化に関する課題を解決することで、光電子デバイス、ウェアラブルセンサー、エネルギー貯蔵システム向けのフレキシブルエレクトロニクス(柔軟性を持つ電子デバイスや回路)を開発し、人間とコンピューターのインターフェースにおける電子機能のシームレスな統合を目指す。スケーラブルな有機センサーや印刷技術による集積化に関するNg氏の研究は、IEEE、米国発明家アカデミー、そして産業コンソーシアムから高く評価されている。

Ellen Roche氏(アメリカ・マサチューセッツ工科大学)
マサチューセッツ工科大学(MIT)の医療工学・科学研究所および機械工学科の教授。Therapeutic Technology Design and Development Lab(治療技術設計・開発ラボ)を率いる。革新的な技術を応用した埋め込み型・ウェアラブル医療機器の開発に加え、デバイスと組織の相互作用を高度に検証するためのロボットおよび計算シミュレーターの構築に焦点を当てている。医療機器業界で研究開発エンジニアとしての経験を持ち、Fulbright International Science and Technology Award、Wellcome Trust Seed Awards in Science、米国国立科学財団(NSF)CAREER Award、NIH Trailblazer Award、Charles H. Hood Award for Excellence in Child Health Research、Harold E. Edgerton Award for Outstanding Faculty Achievement、さらに2025 年の米国大統領若手科学者・技術者早期キャリア賞(PECASE)など、数々の受賞歴がある。

Zhen Xu氏(アメリカ・ミシガン大学)
ミシガン大学にて李嘉誠冠教授(生体医工学)を務めるとともに、放射線科および神経外科の教授。米国発明家アカデミー、米国医学・生体工学研究所(AIMBE)、およびIEEEのフェロー。切開を伴わずに外部超音波によって標的組織を機械的に液状化する、世界初の非侵襲的アブレーション技術「ヒストトリプシー」の共同発明者。この技術は、肝臓腫瘍に対する治療法として米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しており、医療分野における革新的な進展をもたらしている。
ソニーグループ株式会社 チーフテクノロジーフェロー 北野 宏明のコメント
社会の発展に寄与する革新的な研究と技術開発を牽引する女性たちを称え、支援するこの賞に今年度も世界中から多くの優れた研究者の皆様にご応募いただき、光栄に思います。大胆な発想と高い社会的インパクトを持つ数々の研究に深く感銘を受けました。ファイナリストの皆様が今後さらなる成果を上げ、テクノロジー領域で活躍する次世代の女性たちを力強く後押ししていく存在となることを、心から楽しみにしています。
ソニーグループ株式会社について
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詳細については、ソニーグループポータル | ホームをご覧ください。
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